かなり昔の話になってしまいますが、私が小学4年生の時、新しい担任の先生が4月の始業式の日に、
「このクラスは4年4組。獅子(しし)の組。みんなをどんどん谷へ落とします。だから頑張って這い
上がって来て下さい。」とおっしゃったのを今でもとてもよく覚えています。その1年間、先生は時に
厳しく、でもいつもそれ以上の愛情を持って私たちに様々な経験をさせて下さいましたので、とても
素晴らしいクラスでした。私にとっては忘れられない獅子組の1年間となり、先生は私の恩師です。
親子の間でも、深い愛情があればこその厳しさは子どもを強く逞しく成長させ、絆を深めることが
出来るものです。
本日は歌舞伎座で11月大歌舞伎を観て参りました。『祝勢揃壽連獅子』は親獅子が仔獅子を谷へ何度も
蹴落とし、自力で這い上がってきた仔だけを助けるという踊り。新芝翫、新橋之助、新福之助、新歌之助
親子4人が踊る舞台は華やかで圧巻でした。最大の見せどころ、4人での「毛振り」も勇壮で素晴らしく
息もぴったり。連獅子を観るといつも小学校時代の獅子組を思い出します。
そして子育てというのも、ただ厳しいだけではだめ、ただ甘いだけでもだめ、情愛溢れる厳しさで、その
バランスを上手く保つ必要があるのだといつも感じます。そこに親子の深い絆が生まれるのです。
いかなる時も「愛」は大切ですね。