日本の襖には鍵がないのは・・

 昨日の日本料理店での研修では、2時間の講義の後、

実習も行いました。その時に襖の開け閉めの練習も

いたしましたが、まず襖を開けるということは

とても重要な行為です。

今の住宅事情ですと、和室が少なくなり、また、

和室があっても、礼をふまえて襖を開けるということは

あまり日常的にはないかもしれませんね。

でも、日本の襖と西洋のドアはお部屋の出入り口という

役割は同じでも、襖の方がはるかに日本的な奥の深い

意味があるのは、襖に鍵がないことからでも想像できる

かと思います。

 襖は、平安時代の掛け布団を意味した「衾(ふすま)」

に由来していて、寝ているところの仕切りとしても用いられて

いたと言われています。

日本は比較的安全な国であるため、お部屋に鍵をかける

という習慣はなく、襖でも十分仕切ることはでき、

またそこに絵を施すことによって芸術性も持たせていました。

 そしてお部屋に入る時には黙って勝手に入るということは

もちろんせず、中にいらっしゃるお相手のことを思って、

ドアのようにバッと開けるのではなく、

襖は三手で開けるという礼儀作法があるわけです。

まずは開ける前に、お部屋の中の空気を読み、そして

自分の息を整えてから、中の方との息を合わせるように

気持ちを寄せます。そして、三手のうちの一手、

少しだけ(5㎝ほど)開ける時には

「これから襖を開けて入りますので失礼いたします。」

という意味を込めています。

 襖の開閉にも礼儀作法があるのは、お相手に対する

思いやりを形にしているからなのですね。

鍵はなくても、心の鍵で信頼関係を築き、心地よい

心のやりとりが出来る日本人は素晴らしいと思います。

たとえそのような機会が無いとしても、

やはり、その精神文化は大切にしていかなければ

いけないのではないかと改めて感じました。

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