沢庵禅師が江戸時代初期に
柳生宗矩(やぎゅうむねのり)に宛てた
お手紙の中に「不動智」について
書かれたものがありました。
「不動とは、石や木のようにじっと動かない
という意味ではない。
左へも右へも十方八方、自由自在に
心が動きやすいように動きながら、
どのような物事にもとどまらない心のことを
不動智と言う。」
というものです。
私たちに必要な心というのは、
動かぬ頑固なものではなく、どのような状況にでも
対応できるような柔軟な心です。
信念を貫くことは大事なことかもしれませんが、
困難に直面した時、物事が上手く進まない時に
いつまでも1つのことに固執するのではなく、
やり方を変えてみるとか、
他人の意見を聞いてみるとか、
一旦手放して、もう一度考え直してみるなど、
柔らかい思考、感覚を持ってこそ、
芯の強さがまた育まれるのです。
しなやかに自分らしく生きるというのは
時に難しく、いつのまにか、そのしなやかさを
失ってしまうこともあるかもしれません。
でも、自分らしさを保つために、
自分の信念を確認し大事にしながらも、
周りを良く見て、今ある状況を客観的に把握し、
柔らかい心を意識して、臨機応変に対応して
参りたいですね。